本日目黒シェイマスオハラは長尾晃司がお休みで代わりに高橋創です。
明日は渋谷ダブリナーズでパディ・フィールド。
29日は武蔵小山でダンシングセッション!
時間が19:30~22:00に変更になりました。
ダンサーの皆様、ぜひ!
詳しくは
http://www.kozo-toyota.com/
メモ書き程度ですみません。
また後で時間見てちゃんと告知します。
本日目黒シェイマスオハラは長尾晃司がお休みで代わりに高橋創です。
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また後で時間見てちゃんと告知します。
フラー・キョールが始まる直前の一週間は、Scoil Éigseという、未だに読み方がよくわからないのだが、要はサマースクールが開催される。
まぁ、大体あらゆる楽器のクラスがあって、歌なんかも何種類もあるのだが、伴奏楽器はピアノだけ。
ハープもここでは主に旋律楽器として。
したがってギターは勿論、アイルランドでは比較的人気の高いブズーキさえ無い。
この国の伝統音楽が、いかに伴奏というものに興味を持っていないかが伺える。
クラスは1クラス大体10〜15人位。
それがフルートでも10クラス、フィドルだと15クラスもあるのだから、結構な人数だ。
参加資格も年齢制限も無いから、参加者も様々。
三段階のレベルに分かれているが、事前の申し込みの時点での自己申告なので、結構いい加減な感じ。
自分は上級の上から三番目のクラスに割り振られていた。
どこぞの馬の骨ともわからぬ日本人でもこんなところに入れてくれるのだなあと妙に感心してしまう。
同じクラスにいるのは高校生位の子が多かっただろうか。
こういったサマースクールの常連という雰囲気の子ばかりだ。
この辺りは自己申告と言えど、それまでのサマースクールやコンペティション等を通してレベルを把握されてクラス分けされているようだと後々感じることになる。
アメリカから来ているというおじさんもいた。
初日の朝、教室に入る前に部屋から聞こえてくるフルートが結構うまくて、どんな人がと思いながら入ってみると、まだ高校一年生位の左利きの男の子だった。
この年齢でこんな吹ける子がごろごろいるのかと思うと思わずニヤリとしてしまう。
講師はイーファ・グランヴィラという30歳代位の女性。
アイルランド人女性のフルート奏者としては珍しく大柄でない。
まず印象的だったのは、とにかく暑がりであること。
真夏でも最高気温が20度前後で寒いことは前にも書いたが、朝一のレッスン開始時、ジャケットを着込んでも震えそうな自分を尻目に、イーファはカーディガンを抜いでノースリーブ一枚になった上、つかつかと教室の後ろまで歩いて行くと、窓を全開に開け出した(笑)
これがこの後五日間、毎日の日課になる。
それはさておき、彼女が吹くフルートは、決して太くはないけれど、きれいな温かみのある音で、繊細なフレージングの中に、無骨なアイリッシュ・フルートらしい装飾も兼ね備えた、バランスの良さが特徴。
後になってわかることだが、この国の女性フルート奏者のほとんどは、北寄りの力強く吹き込むタイプのスタイルなので、それからすると彼女の流麗なスタイルは異色とも言える。
この日から五日間、午前、午後とレッスン。
基本的に新しい曲を口頭で教えていくというスタイルはここでも変わらない。
おかしかったのは、速いリールという種類の曲をあれだけ鮮やかに吹いていたクラスメート達が、ゆっくりとしたホーンパイプという種類の曲になった途端、ガタガタに崩れるということ。
リールやジグに関しても基本的にゆっくり吹くのが苦手。
この辺りが三番目のクラスに振り分けられる所以か、そんなことを思っていると、4日目になってイーファから、「もしあなたが望むなら明日上のクラスに移ってみない?きっとあなたのキャリアアップになるから」と。
せっかくなのでトライしてみる。
上のクラスの講師は、かのフルート奏者、ジョン・ウィンと、名工エーモン・コッター。
余談だが、一つ下のクラスの講師は、あの有名な、フルートもパイプも弾く若い女性プレイヤー、ルイーズ・マルカヒーで、小柄な外見からは信じられないような太い音が隣の教室からバンバン聞こえていたので、そちらにもかなり惹かれた。
エーモンの演奏は何度か生で聴いていたのと、ジョンの流麗なプレイスタイルに興味があったのとでかなり迷った挙句ジョンのところへ。
この人の音は太くて美しく、大らかな人柄がそのまま表れるような笛。
不思議なことに彼は右利き用のキーの付いた笛を左に構える珍しい人で、見たことも無い特殊な指遣いでキーを操っていた。
最終日だけ参加したこのクラス、さすがに一番上のクラスだけあって、どんなテンポでも走ったりはしない。
この日いた生徒は7人位だったのだが、なんと、ほとんどがアメリカやイギリス等、海外から来ていた。
このフェスティバルのために海外から来ている人々は、当然のことながらアイルランド人とは比較にならない位のやる気をもって取り組んでいるのだが、それがこうした形で現れるのは何とも滑稽だった。
イーファとジョンのレッスンを通して得た一番大きな収穫は、普通のテンポで吹いている限りほとんどタンギングをしていることが聞き取れない位流麗なスタイルで吹くこの二人が、ゆっくり吹く時にはこちらが想定していたよりもずっと多く、ずっとハッキリとタンギングをしていたこと。
この事実が後に自分の演奏を大きく変えることになるということをこの時の自分はまだ知らない。
アイルランドに着いてから初めてスーツケースを転がしながら長距離を移動(笑)
バスでゴールウェイからタラモアへ。
フラー・キョールが開催される今回のメインの目的地。
アイルランドのちょうどど真ん中にある小さな街。
街に着くと、既にあちこちにあるフェスティバル関連の看板や横断幕に心踊る。
しかし、この日最もインパクトが強かったのはこの日から一週間泊まることになるB&B。
外観は普通なのだが、中はカントリー調かアンティーク調で統一された素晴らしく綺麗な家で、シンプルというよりはかわいらし小物がびっしり並んでいるような感じ。
それがどこもかしこも塵一つ落ちていないような手の入れられ方で、その隙の無さはほとんどテーマパーク級。
これがごく一握りの人を除けば掃除とか片付けといった概念が基本的にあるのか疑わしいアイルランドという国で実現されているのだから驚きだ。
もう小躍りしてしまう位の居心地の良さ。
この家にはクリスティとクリスという紛らわしい名前の夫婦、そして、ガニーという名前のタイから里子に来た8歳の女の子が仲良く暮らしている。
アイルランドでは最近海外からの里子が増えているそうだ。
養子より里子が一般的で、ガニーも自分の名付け親、生みの親を認識しており、オーストラリアで獣医をしているなんてこともちゃーんと知っている。
里親、里子ともそれを踏まえた上で家族としての信頼関係を結んでいる訳だ。
このガニーという女の子、実に聡明で、そういった話を自分でする時にちっともネガティブな雰囲気がない。
それは育ての親であるクリスティとクリスも同じ。
ガニーは将来は名付け親と同じ獣医になりたいのだそうだ。
この子が育ての親であるこの家の夫婦にどれだけ愛されているかは、ガニーの部屋を見れば一目瞭然。
本当に仲が良くて、血縁なんて大した問題じゃないのかもしれないと思わされる。
クリスティ&クリス夫妻の親切さもまた尋常ではなくて、基本的に親切なアイルランド人の中でもちょっと群を抜いている。
あまりに良くしてくれるので逆に段々怖くなってきて、ヘンゼルとグレーテルの魔女みたいに、親切な人を装って、客を丸々太らせて、終いには客を食べてしまうんじゃないかなどという疑念が頭をよぎる程だ(笑)
実際、毎朝出してくれるフルアイリッシュブレックファーストはおいしいのだけれど凄まじい量で、昼休みになってもパブでスープを飲むのがやっと。
夕方までは平気で持つのだが、不思議なことにこの国にはそういう習慣が無いのか、何日経っても野菜がさっぱり出て来る気配が無い。
そのために野菜に飢えて、夕方お腹が空くとサブウェイに逃げ込む日々(笑)
数日経って何かリクエストはあるかしらとクリスに聞かれた時に「サラダ!」と条件反射のように出た。
まあ食事はこの国では半分位諦めるべきこととして最初から腹をくくっていたが、それ以外は不気味な位素晴らしい滞在先であった。
また思い出して書きます。
ゴールウェイにいた三日間のうち、真ん中の一日はアラン諸島に行くことに費やす。
今回は選んだのは、三つある島のうち、一番大きなイニッシュモア。
イニッシュは島という意味で、モアは大きいという意味だ。
始めは穏やかでとても海の上とは思えない位だったフェリーも、内湾を出ればあっという間に大荒れ。
人よっては船酔いでグダグダになったところに、上陸後延々登り坂のサイクリングが口を開けて待つ、グロッキーなコース。
自転車で走り始めて5分もしないうちに一軒のパブが現れて、外の席では二人のおじさんがギターをかかえながら昼間から片手にギネス。
一瞬のうちにこちらが楽器を持っていることを目ざとく見つけ、「3時からだ!」と聞いてもないのに教えてくれる。
適当な生返事をしながら先へ。
話には聞いていたが、本当に何も無い島だ。
酪農以外の農業の気配もほとんど無い。
とは言え、今住んでいる人々は皆きれいな家に住み、電気もガスも水道も車もあり、庭に転がる子供の玩具等も本土と変わらない。
今や物質面ではほとんど変わらない生活ができるのだろう、きっと。
しかし、時々ある、昔住んでいたであろう石造りの家の朽ち果てた姿には鳥肌が立つ。
中に家の中が垣間見れるような朽ち果て方をしているものがあるのだが、どれだけ何もなかったかを知らしめるような、何ともぞっとする光景なのだ。
知人が、そこにはただ音楽しか無かったと言っていたが、果たして自分は音楽がありさえすればこの不毛の大地に住み続けられるだろうか。
頭をかかえてしまう。
サイクリングコースはなかなかヘビーで往きはほとんど登り坂。
それもそのはず、ゴールは90mの断崖絶壁。
このまま行くと3時からのセッションどころではないという考えが頭をもたげてしまうのは、もはやサガというより病気に近い。
結局、高所恐怖症で近寄れないからと宣う、船酔いでグロッキー状態の相方の一声で、崖を遠巻きに見て引き返す。
往きはよいよい帰りは怖いの逆で、帰りは下り坂一本道。
あっという間にパブに辿り着く。
庭では先程の二人のおじさんにバウロンのお兄さんが加わっていた。
ギター二人、バウロン一人で一体どんな音楽をやっていたのか気になったが、とにかく入れと急かされてあっという間に輪の中へ。
おじさんの一人に名を告げるとすると、「ジョンだ」と名乗る。
続いてもう一人のおじさんに名を告げると、「ジョンだ」と名乗る。
ここがこの国の理解に苦しむところ。
こんな小さな島で、恐らく島で何軒も無いパブで、ギターを弾いて歌を歌う同じ位の年齢のおじさんが二人ともジョン。
これで何の問題も起きないのだろうか?
ファミリーネームをほとんど名乗らないこの国で。
あるいは何の疑問も感じないのだろうか?
この国で最も多いファーストネームは間違いなくジョンだと思う。
フェスティバルなんかで人が大勢いるところで、「ジョン!」と大声で叫んだら、20〜30人は振り向くだろう。
一つのセッションでジョンと5人位に名乗られたこともある。
正直言ってその名を聞いた瞬間に覚えようという思考の一切が停止する。
あるいは向こうも覚えてもらおうという気も無いのかもしれない。
これだけジョンが多いのに、未だにジョンと付け続ける親の感覚もよくわからない。
とにかくその日は二人のジョンと一時間ばかりセッションをする。
彼等の素朴な歌はとても心地良い。
最後の方に彼等のリクエストでイニッシーアという有名な曲を弾く。
イニッシーアは隣の隣の一番小さな島で、確かイーアは西のという意味。
日本でも頻繁に演奏されるこの曲、実は作曲者がよくわからなかったのだが、ジョンの友達がつくったのだそうだ。
その友達、ファミリーネームはウォルシュ。
ファーストネームは?
ジョン!
さて、今度はサム・マレーSam Murrayについて書きましょうか。
その前に予備知識を若干。
サム・マレーはゴールウェイ在住のフルート職人で、彼のフルートはアイルランドでは非常に人気があるということは前にも書きました。
どの位人気があるかというと、Wooden Flute Obsessionというアイリッシュフルート奏者の演奏を一人1セットずつ、これまでに126人収録した世にもマニアックなシリーズもののCDがあるのですが、そのCDのHPに誰がどこの楽器を使っているか一人一人書いてありまして、25%位はサム・マレーじゃないかという位使用者が多いのです。
実際この後フラー・キョールとその前のScoil Eigseというサマースクールで結構な数のフルート吹きを見ましたが、多分割合としてはもっと多かったですね。
子供達が使っているフルートも三人に一人はサム・マレー。
皆特徴のあるケースを持っていて、楽器そのものの形も一箇所特徴的な部分があるので、ケースに入れてようが裸で持っていようがすぐわかる。
そんなサム・マレーのフルートですが、日本ではあまり使われていません。
というのも、その原因は、彼がHPを持たず、海外からはメールや電話でのオーダーのみで、オーダーから納期までが一年以上と待ちが長めであり、そして、何よりその長いウェイティング期間を経た後納期を守らず、一部からはエンドレスウェイティングリストとさえ呼ばれる位待たせるという特殊事情にあります。
なので自分も、関西の吹いたことがあるプレイヤーから非常にパワフルで良いという感想を聞いたことがありだけで、実際に吹いたことがありませんでした。
こういうのって当然と言えば当然なのですが、一人でも誰かが持っていると実際に試すことができるし、オーダーのやり取りの事情なんかもわかるので次々に増えたりするのですが、一人もいないと流石に怖くて誰も手が出せないんですね。
実は最近身近に彼にフルートをオーダーした人がいて、ついに口火が切られるかと思いきや、納期を一年過ぎてもまだ来ない(笑)
かえって怖くなり、誰もオーダーしませんね、今となっては。
前情報はこの位にして、話をゴールウェイに戻しましょう。
ポール・ドイルの工房を出た後割りとすぐに行ったのが一回目。
時刻は14時頃。
工房はすぐに見つかりましたが、隣のスタジオのスタッフ曰く、昼食のため不在。
小さな工房でしたが、パッと外から見てもぎょっとする位の散らかりよう。
まあフルートの名工となればこんなもんでしょうか。
二回目は夕方5時頃。
先程はついていた電気が消えているところを見るともう仕事終いの模様。
(おいおい、一体いつ仕事してるんだ、この男は。さすがはエンドレスウェイティングリスト。)
翌朝行ってみると、工房前に二人の若い男が。
まさかこんなに若い訳はあるまいと思いつつサム・マレーはいるかと問うと、やはり息子だったようで、父親を呼んでくれました。
呼ばれて出てきたのは、なるほどという感じの目つきの鋭いひげもじゃの男。
50歳は過ぎている感じでしょうか。
日本から来たこと、彼のフルートを試してみたいということを伝えると、快く工房に招き入れてくれ、間髪入れず「お前のフルートを見せてみろ」と。
渡すとすごい勢いでパラパラと吹き鳴らし、「ちょっと細過ぎてあまり息が入らないな」
(カチン。そりゃあんたの吹き方じゃ物足りないだろうよ。)
そして、「今試せる新しいフルートが無い。」
(ブルータス、お前もか。)
「古いタイプのならある。」
吹いてみると意外な程きれいな音がする繊細なフルート。
「それは今のとは全然違う。」
(試し吹きさせる意味があるのか?)
「明日の午後二時に来い。今つくっているフルートを完成させておいてやる。しかもここでパーティーがあってセッションもやるから吹きに来い」
(お、いい展開。)
ついでなので、一昨年注文したUさんのフルートはどうなっているのか問うと、「彼のは二度も送ったんだが、二度とも送り返されてきた。メールもしたが返事が無く、連絡が取れない。もう一年以上も前の話だ。もし連絡が取れるなら連絡をとってくれ」
(なんだ、いい人じゃないの)
「今趣味のアンティークの腕時計の話が盛り上がってて忙しいからそれじゃ。」
やはり仕事してないんじゃないかという疑問を抱きつつ、その日はおいとま。
翌日約束の時間に行ってみると、何故か人気の無い工房。
(嫌な予感がする)
工房前に貼り出されている電話番号に電話してみると、
「昨日は忙しかったからまだ終わっていない」
パーティーは?と問うと、
「そりゃ昨日だ」
(……。こいつをまともに相手にするのはやめにしよう)
という訳でサム・マレーとの接触はなかなか素敵な感じに終わった訳ですが、後日Uさんに連絡してみると、大人な対応で、とても喜びながらも、「メールアドレス変えたのは向こうなんだけどねぇ(笑)」なんて涼しい感じの怒りが感じられるメールが来てました。
さらに後日エニスにお住まいの知人にことの顛末を話すと、「それ嘘臭いなぁ、本当に二回も送ってたら送料請求してきそうなもんだよ」とのこと。
もう胡散臭さは上がる一方ですね。
しかして実際にその楽器はどうなのかと言いますと、これがなかなか良いから困りもの。
次の週に同じクラスの人に吹かせてもらったのですが、前に自分が吹いていたパトリック・オルウェルのフルート、爆音モデルと言われたこのフルートが大人しく思える位音の大きな、吹き込みに強い攻撃的な感じの笛。
ある意味職人の人柄を表しているのかもしれません。
この後、それを裏付ける出来事が起こるのですが、それはまた別の話に。
毎日ヘビー過ぎて、結局さかのぼって書く羽目になってしまいましたが、小出しに書いてみます。
ゴールウェイ二日目、荷物が発見されたという連絡の後のことです。
必要なものを買いに行く予定だったのが買う必要が無くなったので、街をふらふら歩くことに。
割と早々だったと思います、妙な建物、妙な看板を発見。
恐る恐る入ってみると、まずドアのところに、ドアを開けると自動的にピックが数本の弦を弾くような仕掛けがあって和音が鳴り、客の来訪が知らされてもはや後には退けない格好に。
中は木材の山で人はおらず、すぐに二階から声がかかる。
上がってみるとあらゆるところにつくりかけ、完成品問わず、フィドルからブズーキ、ギター、ハープに至るまで様々な楽器が陳列…されてたり、散乱してたり。
そこは楽器工房。
主はポール・ドイル。
ブズーキの特徴的なヘッドを見るまであの日本でもよく見かける有名なメーカーだとはついぞ気がつかなかったのですが、元々は代々フィドルをつくってきた有名な職人。
親切にも彼はこれまでつくってきた楽器の写真等を見せながら色々説明してくれるのだけれど、その場に肝心のフィドルの完成品は無く、試奏は不可(笑)
これって商売になるのですかね。
日本人の客はいつ誰が来たかも手書きのノートを見せながら事細かに教えてくれて、やはり知り合いばかりで、つい最近もよく知っている人が来たという話でしたが、これって軽く守秘義務違反になる訳で、今はやりの顧客情報流出というやつになる訳です(笑)
まあそれはさておき、ここで最も収穫だったのはゴールウェイの有名なフルートメーカー、Sam Murrayがすぐ近くにいるという情報を得たこと。
Sam Murrayは日本では持っている人がほとんどいないのですが、アイルランドでは人気があって、かなりパワフルなことで有名な、一度は吹いてみたかった楽器。
しかも納期を守らないことも有名で、つい最近も知り合いがオーダーしてお金も払ったのに一年以上楽器が来ない憂き目に遭っているというオマケ付き。
ゴールウェイに住んでいるというのは頭の片隅にはあったのですが、特別たずねようとも思っていなかったので、思わぬ収穫でした。
Sam Murrayの話はまた別の機会に書くとして、驚いたのはこの日の夕方手元に戻ってきた荷物の中に、三年前アイルランドに来た時に使っていた携帯電話が入っていたのですが、そのアドレス帳の中にはなんと、ポール・ドイルの名前があるじゃありませんか。
よくよく記憶を探ってみると、三年前アイルランドに来た時に、ダブリンにある、おじいさんおばあさん娘さんの三人が切り盛りしている小さな楽器屋さんに、F管のチューナブルのホイッスルを探してもらったことがあるのですが、結局手に入らず、その時親切にもここならあるかもと教えてくれたのがポール・ドイルだったのです。
当時はダブリンの近くに住んでいるのだろうと勝手に思っていたのですが、その時電話で会話をしたポール・ドイルに、こうして実際に、しかも偶然巡り会うとは夢だに思わざりきでした。
とりあえず無事帰国しました。
日記は追って。
たまには真面目な話もしてみようか。
ゴールウェイという街について。
ゴールウェイという街はとても面白い。
自分がこれまで見たどの都市とも雰囲気が違う。
まず、街並みが美しい。
中心部は石畳で、古くからありそうな雰囲気の良い店が建ち並ぶ。
通りではストリートミュージシャンやストリートパフォーマーが入れ替わり立ち替わり。
トラディショナルだけでなく、ジャンルも様々。
ミュージシャンもパフォーマーも必ずしもレベルが高い訳ではないけれど、街が彼らを育てようとする雰囲気がある。
建ち並ぶ店々の3分の1位はパブじゃなかろうか。
観光シーズンということもあるが、昼間から夜までにぎわいが途絶えない。
セッションについては別の機会に書くとして、このパブに関して、今まで見たことがない特徴を一つ見付けた。
夜になると片耳にイヤホンのようなものをした、真っ黒のベンチコートのようなものを着た人達が各パブの扉の前に一人ずつ立つ。
どうも警備のようだ。
彼らは常に周辺に目を光らせていて、時々グラスを下げたり、店の前の椅子を整えたり、雨が降れば張り出しの屋根を張ったりする。
未成年者風の人が入ろうとすると年齢確認をしたりもする。
自治体が出しているのか、店々が共同で出しているのか、私設なのかはわからない。
とにかくパブというパブの前に彼らはいるのだ。
(後にこの警備はピークシーズンだけということが判明し)
ゴールウェイという街はゴールウェイ大学を擁する大学都市で、若者が多く、活気に溢れている。
5分の1は大学生という話だ。
しかし、リムリックやダブリンなんかと比べてずっと治安が良い感じがする。
建物の高さが低く、道が比較的広いせいか、死角となるような暗い通りがあまり無いように思う。
そして、通りにゴミが少ない。
ゴミが少ないことは治安の良さの絶対条件であるということは、ニューヨークの治安の回復の例を見てもはっきりしているようだが、先に述べた警備員の話も含め、ゴールウェイという街は、街自体が治安維持に努めているように思える。
そのことと若者のもつ活気とが実に良いバランスで、そこからこの街特有の明るさが生まれている、そんな印象を受けた。
出てきました。
荷物。
無くなったと考えて必要なものを全て買わなければとゴールウェイの雨の朝を歩いている時に、その電話は鳴りました。
声の主はあのお兄さん。
エマージェンシーセットをくれて親身になって何度も連絡してくれた彼でした。
「グッドニュースだよ」と嬉しそうに伝えてくれた彼の声を聞いて、雨の中小躍りしました。
荷物はその日の夜、ゴールウェイ大学の、夏場は宿泊施設として解放される学生寮に届けられたのでした。
荷物が無い時は、身軽でいいやとか、人間もっとシンプルに生きられるのかもねとか言ってましたが、
すみません、強がりでした。
あなありがたや。
ネタに恵まれている今日この頃ですが、吉報もありました。
フラー・キョールのテープ審査が通っているそうです。
あとはもう一度直前審査があって、それが通ればもう本戦出場。
他にも3人、同じような枠で出る人がいるようです。
いずれも自分の国で予選ができないため。
旅行中は、特に序盤全く楽器に触れなかったので流石にちょっと不安になりましたが、徐々にセッションも増えてきてほっとしております。