少しずつ時間がつくれてきたのでまたちょこちょこ書いていこうと思います。
書きたいのに書いてないものがたくさんたまっているのですが、この手のものは記憶の新しいものからさかのぼっていくのが鉄則らしいですね。
某通信添削の何かに書いてありました(笑)
ですので、まずは昨日から。
昨夜は自由が丘のO'Carolan'sでライヴでした。
実を言いますと、これまでこのパブでのライヴは非常に難しいものがありました。
まず、第一に音環境。
第二に演奏場所。
この二つは勿論密接に絡むのですが、ここのパブは普通のパブに比べて横長にかなり広く、これまではお店の一番端で演奏していたため、遠くにいるお客さんはこちらからはほとんど見えず、お店の空気が二分してしまうという大きな問題がありました。
おまけにPA(マイクやスピーカー等)にも問題があり、近くのお客さんは生の音しか聞こえず、遠くのお客さんはある場所を境に突然PAの音ばかりが聞こえるという状況で、これがお店の空気を二分するさらなる大きな原因となっていました。
プロのプレイヤーとしてはどんな過酷な状況でも演奏できなければならないということは重々承知しているのですが、ライヴはお客さんとのコミュニケーションが無ければ成り立ちませんので、そこに障害があると色々なものがうまく行かなくなってきます。
折角のいい演奏がPAで台無しになるというシーンを 自分はいくつも見てきました。
ですので、それらは決して軽視できるものではありません。
できうる限り最大限の努力をしていい環境を整えることは、プレイヤーや制作サイドの義務だと思うのです。
今回のライヴ前に一度事前にパブに出向いて、オーナーさんやマネージャーさん方と打ち合わせをし、過去数回のライヴで感じてきたことを率直に伝えたところ、多くのことはパブ側が考えていたことと一致し、改善できるところを可能な限り改善していくということになりました。
そして、昨夜のライヴ。
正直びっくりしました。
こんなにも変わるとは。
もう自分にとって感覚の上ではほとんど別のパブという位です。
まず、演奏場所が変わりました。
お店の中央、カウンターの目の前。
お店中が見渡せ、聴いて下さっているほとんどのお客さんと目を合わせることができるようになりました。
音も真ん中にいるためにギャップがほとんど無くなりました。
おまけにお店に入ってすぐの場所なので、後から入ってくるお客さんとも絡みやすく、窓を背にしているので外からも見えるようです。
そして、PA。
あちこちにスピーカーが取り付けられ、演奏者自身に音を返すモニターも独立でバランスを調整できる程充実していました。
お陰様で非常に気持ちよく演奏でき、 初めてこのパブで本当に楽しそうに音楽を聴いて下さるお客さんの顔を見ることができました。
ライヴ自体については、Jizoとしては、自分自身の曲を除いて初めて、日本人作曲家の曲を取り上げました。
以前から演奏してきた、柳浦遊さんの「Harvest November」に、今回は、VOICE SPACEの作曲家中村由美さんの二曲をつなげるという試みをしました。
この新しい二曲、実は先日行われた、中原中也の朗読劇「子守唄よ」で使われた二つの歌の間奏の部分で、いずれもほとんどダンスチューンのような感じだったので、それをあたかもダンスチューンであるかのように繰り返して、湖上~Harvest November~朝の歌という具合につなげたのでした。
「朝の歌」も「Harvest November」もシンコペーションが頻発するアグレッシヴな曲で、「Harvest November」は途中で拍子が変わったりする難曲、「湖上」は6/8+4/4の計11拍子という変わった拍子にもかかわらず、いずれの曲もわかりやすく、聴き手にとっては難解でないすばらしい曲です。
こういった日本人のつくった曲でいいものをこれからも積極的に紹介したいと思っています。
ライヴはこの他に、演奏者三人やお店の人達がハロウィンにちなんで仮装していたり、映画「Titanic」の中で使われた曲を演奏したことを受けて、MCでお店を盛り上げて下さっていたフランス人のクララさんが突如「My Heart Will Go on」を歌われたりと、普通のパブライヴではあまりないくらい盛りだくさんでした。
今回のこの大きな改善は、お店の人達と一緒に考えながらあれこれ試行錯誤した結果なのですが、その際、毎日接客をして、お客さんとコミュニケーションを取り、お客さんの流れ方を見てきているお店の人達の視点や考え方は大変参考になり、勉強になりました。
以前このパブに遊びに来て下さった皆様、またぜひ足を運んで頂いて、大きく変わったこのパブでのライヴをお楽しみ頂ければと思います。