先日、3月から始まるNHKの朝の連続テレビドラマ小説「ゲゲゲの女房」の音楽のレコーディングに参加してきました。
劇中に使われる曲8曲を録ったのですが、事前に楽譜も無く、調の指定も無かったので、何があってもいいようにと、フルート4本、ホイッスル15本と用意できるあらゆるキーの笛を抱えて行きました。
蓋をあけてみると、持ってきて良かったと思わされるほど様々な調の曲が出てきて、移調読みだけでも段々訳がわからなくなりそうな位でした。
作曲の窪田ミナさんはまだお若いのに(少なくともそう見えました…;笑)、非常に曲調の幅が広くていい曲が多く、酔わないようにしなければと思わされることが多々ありました。
このような劇伴の音楽は、一曲がとても短くて、長くても3分位で終わってしまうのですが、曲の数がとにかく多くて、おまけに曲に名前らしい名前がありません。
代わりに“騒動A”とか“茂B”とか、シーンの名前が書かれている訳です。
アホなことに、この“茂”が、ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるのことだということにレコーディングが終わって帰宅途中まで気付かなかったのは内緒の話。
そう、皆さんご存知の通り、このドラマ、水木しげるの奥さんのお話だったのですね。
そこまではわかってたのにも関わらず、何で茂に気付かなかったのかは謎ですが。
一番最後に録音した曲は“妖怪AB”という名前がついていたのですが、これがどうも妖怪が登場するシーンに使われる曲のようで、何とも妖しげな、今にも妖怪が出てきそうな雰囲気の曲なのです。
そんな雰囲気の音の中、録音ブースに一人で入って、ヘッドホンをして、長いC管のフルートを尺八のようにぼそぼそと吹いていると、何だか妖怪達に囲まれて共演しているような、今まで体験したことがないような不思議な気分になりました。
このドラマ3月の後半から始まるそうですが、15分繰り上がって8時スタートになるそうですね。
思い出したら豊田の笛だと思ってご覧下さい。