目次
新しいキャンプフェス
先月、勝浦の新しいキャンプ場でスタートしたRewild Music Fes Campという、ソーシャルディスタンスを保ったアウトドアフェスティバルで演奏してきました。
広々とした芝生のキャンプ場は、確かにソーシャルディスタンスをキープするには持ってこいで、気分も開放的でとても良いフェスティバル。
アイリッシュ音楽に限らず色んなジャンルのミュージシャンが毎週末1~2組出演します。
つまり、何と、毎週末やっているフェスティバルなのです。
これはちょっと驚きの形でした。
不思議な構成の新しいユニット
今回は登山して山小屋でもなく、演奏だけやってホテル泊でもついでに常設テント泊でもありません。
自分達で自前のテントやタープを張り、積極的にキャンプを楽しみ、その中で演奏する新しい形。
なので共演者として誰でも誘える訳ではありませんでした。
昨年末にToyota Ceili Bandの忘年会兼二組の新婚さんのお祝い会がうちであって、その時にその新婚の二人、フィドルの沼下さんとアコーディオンの田中さんのそれぞれの旦那さんが山登りだったり釣りだったりが趣味でアウトドアに強いということを知り、いつかアウトドアを3家族でなんて話がたまたま出ていたのです。
それでうちの嫁さんと4人で演奏し、アウトドアに強い二人の旦那さんがガッチリ脇を固めるという面白いチームができあがりました。
Celtic Caravanと名付けられたこの新しいユニットの演奏は、お陰様でお客さんからも主催者からもものすごく喜んでもらい、今後月1くらいのペースで演奏させて頂くことになりました。
既に次回の演奏が9/5に決定しております。
ハイテンションの三家族
実際にこの話が決まってからはもう三家族とも大騒ぎだったんじゃないかと思いますw
沼下さんのところは山は登りますし、田中さんのところは釣りはしますが、どちらも平地キャンプはほとんどゼロに近かったようですし、かく言う自分自身も平地キャンプは25年ぶりくらい。
小中学生の頃ボーイスカウトをやっていたためあれこれ叩き込まれていましたが、お説教ばかりでもうほとんど苦行に近くて、大人になってキャンプを楽しむなんて発想はなかなか出てこず、数少ないテント泊は、アイルランドに2ヶ月半武者修行の旅に行ってフェスティバルに参加するために一週間×2セット(これもきつくてトラウマ)、木崎湖畔のアルプスブックキャンプでの演奏の仕事の際に一泊した位でした。
なので、家によってはテントや寝袋を新たに買いと大騒ぎだった訳です。
うちにしてもある程度装備は揃っていたものの、うちの嫁さんは多分アウトドア経験が一番少なく、虫嫌いの潔癖寄り。
ここで間違って悲惨な体験をさせるともう二度とやらないという話になりかねなかったため、周到に準備しました。
巨大なタープの導入
しかも、今回はテントサイトで演奏するという絵を良い形で見せる必要があったため、演出的な要素も求められました。
それで散々悩んだ挙句、6人がテーブルや火を囲んでセッションをしていても余裕、しかも外からそれがある程度見える位の大きな大きなタープを導入しました。
これが大正解で、このキャンプの間何度もバケツをひっくり返したような土砂降りに遭い、二日目にはガンガン照りにも見舞われましたが、この大きなタープのお陰で実に快適だったのです。
そして、そのタープの下でのセッションは実際とても良い絵になったようで、主催者側からタープを褒められた程でした。
お陰で次の話も繋がり、うちの嫁さんも他のメンバーも大いに楽しんで、初期投資は大成功だったと言えるかと思います。
そして、この新しい仕事はただ単にキャンプ場で演奏しましたという以上に色々な付加価値があると感じていますが、その前にまずはストレートに久々にキャンプをしてみた所感から書きたいと思います。
アウトドアのスタイルの変化1 イージーモード
久々のキャンプはもう快適そのものでした。
昔とキャンプの在り方自体が全然違います。
何が違うってまず道具が恐ろしく進化しています。
2009年購入のモンベルのドームテントですら設営は一人で楽々。
ボーイスカウト時代に苦労したA型テントとはまるで別物。
BBQコンロも半端ない進化を遂げていて、炭の着火なんかもう完全にチート。
あの子供の時の苦行は何だったのでしょうか?という感じです。
勿論今でもストイックでサバイバルなキャンプをやるという選択肢はあるんでしょうけど、自分はあれはもういいかなと思っていますw
楽しむためのキャンプがしたいのです。
そして、そうなって初めて、あのひたすら難度の高い作業に追われていたキャンプからごっそり作業が引き算されて、空白となった時間に音楽を奏でて楽しむという話が出てくるのだと思います。
今はそういう選択肢がたくさん用意されています。
アウトドアのスタイルの変化2 ファッション性
もう一つ、昔と違うのはギアが全体的にお洒落になっていること。
もう一々お洒落な選択肢が用意されています。
お洒落なテントサイトはお洒落な家を見てるのとほとんど変わらない位のノリです。
登山と違って平地キャンプは装備を軽く小さくすることの重要性がそこまで高くないので、家で使っているお洒落で機能的なものをそのままキャンプでも使うという選択肢も大いにありますし、インドア、アウトドアを区別せずに双方で使える良いものをという発想のメーカーもちらほら出てきているようです。
実際機能面でも申し分なく、家でもキャンプでも使えるものはたくさんあります。
キャンプ用品ってそれなりに嵩張りますし、場所も取りますから、キャンプでしか使えないものをガッツリ揃えて家に置いておくのはミニマルライフを志向する身としては抵抗がありますが、こういう両方で使える良いものという発想は願ってもない訳です。
キャンプの魅力とミニマルライフとの親和性
そう考えるとそもそもミニマルライフとキャンプは結構親和性があることに気付きます。
キャンプ自体のスタイルの変化も、昔はストイック系・サバイバル系ミニマル中心だったのが、今はお洒落系ミニマル中心に移行してきているとも捉えられるでしょう。
そして、それはギアの話だけでなく、作業を簡単にして、自然の中で敢えて何もしない時間を楽しむというコンテンツ面での話にも通じますし、もっと言ってしまえば、テントサイトを構築するということ自体がそれに近いアクティビティになっていると思います。
家ごとお洒落にしたり、タイニーハウスを別荘として持つのは大変だけれど、キャンプサイトは手軽に構築でき、レイアウトもキャンプの度に変えられます。
そこに自分の思い入れのあるものを厳選して持っていき、自分にとって心地よい空間をオーガナイズするのは、家で実現できない空間づくりをシミュレーションして楽しめる訳です。
多くの人がハマっていく理由がよくわかります。
ただし、物欲にも直結するから普段のミニマルライフとのバランスの取り方は難しいところがあるかもしれません(笑)
今回の反省点
- テーブル、作業台、シェルフの不足
今回テーブルと椅子、ランタンはキャンプ場からお借りすることになっていたので、どういうものを使えるのか行ってみるまでわからず。結果、物を置いたり作業する台が圧倒的に不足し、一々物をボックスの中から引っ掻き回して探す羽目に。周りを見れば何ともお洒落にすっきりと整理されているテントサイトがいくつも。必要な物、不必要な物の選別もやってみないとわからなかったので、これから徐々に必要な物を厳選し、使いやすいようにコーディネート行く必要がある。これはむしろ楽しみの一つ。
- ランタンの不足
演出面でも機能面でもランタンは足りなかった。お借りした小型のLEDランタンは昼白色でこれは一つあるだけで雰囲気を台無しにしてしまう。演出の大半は光で決まる感じなので、ここは電球色のLEDか実際に火を伴った雰囲気の良い物を揃えたい。一つで明るいものよりも多少暗くても数揃える方がベターか。
- テントが狭い、睡眠環境は大事
これはちょっと計算外でした。モンベルの2~3人用テント、こんなに狭かったでしたっけ?O’Jizoの長尾君と二人でここに寝たとは信じがたいくらいでしたw 夏で蒸し暑かったからというのもあるかもしれません。ですが、本番前に衣装に着替えたりということを考えるともう少し広い高さのあるものが必要かも。しかも、睡眠環境は芝生とは言え、全くのフラットではなく、正直自分には少し厳しくて、この活動を継続していくにはここが最重要課題と認識。すなわちコット(キャンプ用簡易ベッド)の導入が必須。そのためにもテントの広さと高さが重要。
- 椅子問題
キャンプ用の椅子ってどうしてあんなにふんぞりかえる系か肘掛け系の二択、あるいはその両方になっちゃうんですかね?あれ、本当に演奏しづらいんですよね。かなり姿勢がきついです。肘掛に至ってはアコーディオンやギターは演奏不可ですね。今色んな椅子をリサーチしまくっています。現状無印良品のボックスに座る方がマシなくらいですからw
- 食事の作り過ぎ
いつぞやのうちでやった肉会状態でした。卵とチーズのスモーク、アヒージョ、厚切りのステーキ、ソーセージ、ベーコン、ポトフ、ストウブで炊いたご飯、ホットサンドと欲張り過ぎました。しかも田中さんのところのご夫妻が前入りして釣りをして大量の魚。そこにステージ演奏終了直後、主催者側からビールとラーメンの振る舞いが。次回は徹底的に絞りたいと思います。足りないくらいに絞り込んで、あとは保存のきくもので調整。
- 何かやろうとし過ぎた
食事と同じ延長線上だと思いますが、BBQもやりたい、スモークもやりたい、アヒージョもやりたい、ホットサンドもやりたい、花火もやりたい、、、時間的にも欲張り過ぎました。常に何かをやっている状態でした。ただでさえ初めて使うタープやBBQコンロがあり、四半世紀ぶりのキャンプである上に、ステージでの演奏、そのためのサウンドチェック、テントサイトでのセッション…。これでは時間が足りる訳がありません。焚き火を眺めてボーッとする、そこに音楽がなんて境地には程遠い状況でした。これにはチームが少しずつ設営などに慣れていく部分もあるでしょうし、ものと置き場のオーガナイズによって作業の効率化も進むと思いますが、それ以前にやることを引き算していくというのが重要かなと。料理にしたって手間のかかる料理ばかりをする必要はない訳です。予め食材を切ったり下ごしらえして時短を図る手もありますし、昨年よく見ていたドラマ『ひとりキャンプで食って寝る』で缶詰を加熱してひと工夫だけして食べるみたいな形も食事をつくることに焦点を置き過ぎない効果的な方法だなと感じました。何もない時間、音楽を楽しむ時間を増やすこと。次回以降ここにもう少し焦点を当てて行きたいと思います。
仕事と遊びの間、構築していく世界観
今回はただキャンプ場で演奏しましたという仕事ベースの話にはしたくありませんでした。
キャンプを全力で楽しみつつ、演奏もする。
仕事とプライベートの境を積極的に曖昧にしていく。
そんな意図がありました。
大きなタープの下で、火を囲みながら演奏していると、周りからお酒を持った人達が集まってくる、そんな絵が、今回のお試し段階で既に自然にできあがっていました。
今まで演出は人任せでしたが、それをこれから数を重ねる度に少しずつ構築していく楽しみもあります。
アウトドア × アイリッシュ音楽
車を売るのに車自体の魅力をアピールするのが従来の売り方でしたが、昨今は車を使って人生を楽しんでいるライフスタイルを売っていく形に変わってきていると聞きます。
これからも定期的に続くことになったこのプロジェクトは、キャンプの中でアイリッシュ音楽を自然に楽しむことを一つのライフスタイルとして発信する、そんな試みでもあります。
ちょうどたまたま1月くらいからご夫婦でホイッスルとフルートのレッスンに来始めたご家族がキャンプ大好き一家で、焚き火を眺めながら楽しめる音楽を探してうちに辿り着いたというのも面白い偶然でした。
今までもアイリッシュ音楽の愛好家がグループでキャンプをして夜セッションを楽しんでいる人達が既にいることは耳にしています。
大抵は迷惑にならないように人のあまりいないところでひっそり楽しんでおられるようです。
そこにこうしてキャンプ場サイドが積極的にコンテンツとして組み込んでくれる場が出てくると、アイリッシュ音楽の愛好家層とアウトドアの愛好家層の交わるところに今まで表面化しなかった潜在的な需要が現れる、そんな気がしています。
アイリッシュ音楽は今セッションもダンスも制限され、その文化の核でもある楽しみ方を見失いかけています。
勿論、キャンプ場=安全というわけではないですが、細心の注意を払った上でのキャンプ場でのセッションは、アイリッシュ・パブでのそれよりは遥かに安全性が高いでしょう。
いつの日か普通にアイリッシュ・パブでもセッションが伸び伸びできるようになるその日まで、みんなのモチベーションが下がり過ぎないように、新たな場として機能してくれたらなぁとうっすら思っています。
次回の出演は9/5(土)です。
千葉・勝浦で音楽グランピング&キャンプ|リワイルドミュージックキャンプフェス(REWILD MUSIC FES CAMP)
あ、この演奏をパッケージごとご希望のキャンプ場経営者様、お仕事大歓迎です!