先月の話になりますが、モンドパラレッロ歌劇団の能楽堂コラボ公演に出演しました。
もう7回目になるそうです。
ありがたいことに能楽堂コラボ公演は全て出演させて頂いております。
この歌劇団は常日頃から西洋オペラの声楽だけでなく、お能の舞、地謡、狂言などなど、一朝一夕には身につかない芸事をいくつも並行して稽古されていて、さらに団長はJapan’s Got Talent初代チャンピオンになられたり、人間国宝クラスの能楽師も出演されてコラボしたりと、ちょっと他では見ることができないとんてもない世界観を創る唯一無二の団体であることは前にも書いたことがあります。
近年はそれに加えて吉本の芸人さんが何人も団員として加わり、明らかに笑いの質が上がってきたように思います。芸人さんに接するのはほとんど初めてかと思いますが、普段の稽古からいかに笑いを取るかに人生を捧げてきた人達という感があり、一瞬で何の照れもなく豹変するような役への入り方は凄まじいものがあります。今回も花火という芸があって、個人的にハイライトだったのですが、もうリハから何回見ても笑えました。本当にとても好きな空気でした。
普段弦楽四重奏+打楽器+アイリッシュ・フルート&ティン・ホイッスル(時々篠笛も)という不思議な組み合わせの小編成オーケストラで伴奏し、公演の中では場面の切り替わるところなどで「お調べ」と呼ばれる笛の無伴奏ソロを担当させていただいているのですが、今回は初めて、能舞台の上で、弦と打楽器を伴奏に、完全に一曲丸々ソロを演奏させていただくという素晴らしい機会を頂きました。
平将門にまつわる演目だったため、アイルランドのシャン・ノースと呼ばれる古いスローエアの中から『オライリーの墓』というストーリーも雰囲気もよく合った曲を演奏させていただきました。紋付袴を着て、ストリングスとパーカッションの伴奏で、能楽堂の舞台でこの曲を演奏するというのは、世界広しと言えどなかなか無いのではないかと思いますが、能楽堂の独特の響きが大変演奏しやすく、弦楽器と打楽器の神秘的な伴奏も素晴らしく、そして、満席のお客様に聴いていただける悦びに打ち震えながら、この瞬間が終わって欲しくないと思いつつ、昼夜2度の公演を無事演奏し終えました。
貴重な機会をくださった歌劇団、支えてくださった共演者の皆様、聴いてくださった皆様に、ただただ感謝するばかりです。
ありがとうございました。
次回の公演は6/22(日)に予定されています。