禁断のダブルバウロンユニット 東西ツアーを終えて、バウロンについて改めて考察

遅くなりましたが、伊丹→東京3公演、禁断のダブルバウロン東西ツアーについて少し振り返りたいと思います。
まずはお越し頂いた皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。
社会的状況についてはもうそりゃ不安だらけでしたし、やって良いものかどうかさえかなり悩みましたが、結果から言えばやることができて本当に良かった。

今回のライヴ、そしてツアーは、YAMAHAのSYNCROOMを使った遠隔のセッションによるリハとclubhouse上での音声のみの5〜6回に渡るライヴをきっかけに、東西2名ずつの本来遠すぎる組み合わせのユニットが成立したことがきっかけでした。
この特殊な社会状況において珍しく良かったことかもしれません。
本番当日が初顔合わせにして初生音合わせという不思議な展開。

特筆すべき点は、clubhouseで色んな組み合わせがあったにも関わらず、本来アイリッシュ音楽で禁忌とされるバウロン二人という極めて特殊な編成がはまってツアーをするにまで至ったこと。
これにはバウロンの2人がバウロンしかできない人ではなくて、他に旋律楽器に持ち替えることができたことも大きかったですが、それにしてもこの編成を選ぶことになるとは人生わからないものです。

というのも、今まで自分はどちらかと言えばバウロンという楽器がそこまで得意ではなかったからです。
自分自身ちょこっとかじっているし、その魅力もその破壊力も両方よくわかっています。
ただ、これまではトータルで考えてプラスよりはマイナスに感じるケースが多かったのです、色んな意味で。
ところがこの2人は違いました。
こんなにも旋律のことを理解し、バウロンのことを理解し、技術が伴い、かつ音楽全体のことを考えられ、さらにバウロン奏者同士でリスペクトし共存さえし得る、そんなバウロン奏者達がいるんだと大いに驚かされました。
そして、それならば彼らと共にバウロンの魅力を最大限に引き出す遊びを積極的にやろうと思ったのです。

実際にこの数ヶ月実験を重ねて、かなりぶっ飛んだこともトライしてきましたし、バウロンの本質的な魅力に迫るということに傾倒してきました。
お陰でこの楽器の魅力に改めて気付かされましたし、この二人のレベルの高さにも驚かされました。
ただシンプルなパターンを叩いているその一打一打が、その音の立ち方が、それだけで圧倒的な魅力を放ち、心が湧き踊る。
アイルランドのトップ奏者にしか感じたことがなかったこの感じが二人の演奏にはありました。
泥臭い表現、濁った表現を敢えて使っていくという試みも自分にとってはとても貴重でした。
自分の中に一番欠けていた要素だったからです。

アイリッシュ音楽の旋律奏者の中には、過去にバウロン奏者によってもたらされた何らかのトラウマのために(自分の場合はアイルランドのフェスティバル中にバウロン3人+ギター3人、旋律ゼロというセッション?にフルート一人放り込まれたのがワースト1w)、バウロンという楽器に向き合うことを無意識に避けているケースがあると思います。
少なくとも自分はそうだったと気付かされました。
でも、こうしてバウロンに、バウロン奏者にしっかり向き合うことで、旋律奏者、伴奏者がお互いに育っていくのは大事なことだなぁと改めて感じました。
この2人のバウロン奏者、石崎元弥君と上沼健二君、さらにそれを立体的に支えて曲全体のダイナミックスをつくりあげてくれた山本宏史君には大いにリスペクトと感謝を捧げたいと思います。

この組み合わせはまだまだ続けていきたいと思いますが、ひとまずの締めくくりとして今週末、今度は映像付きの遠隔の配信ライヴがあります。
ツアー前に遠隔で丁寧に決めていったルールを、ツアーが進んでいくにつれて次々に破っていった2人がw、再び遠隔に戻った時にどんな顔を見せるのか?
是非あなたも目撃者の一人になって下さい。

2021年9/26(日)12:00〜13:30
禁断のダブルバウロンユニット 遠隔配信ライヴ
豊田耕三(アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル、ボタン・アコーディオン)
石崎元弥(バウロン、バンジョー)
上沼健二(バウロン、フィドル)
山本宏史(ギター)

https://r-live.net/_//ticket

¥2000

今回の配信ライヴは遠隔ライヴの最高峰のエンジニアが最高品質の音でお届け致します!

ご購入頂いた方は一ヶ月程アーカイブ視聴できますので、その時間に都合が合わなくてもお楽しみ頂けます!
ただし、このclubhouse ストリート× r-live netのシリーズは他にもたくさんのミュージシャンがいらっしゃるため、アイリッシュ音楽の回はこれを逃すと当分ありません。どんなに早くても来年以降になります。
お見逃しなく!