楽器シリーズ第二弾はローホイッスル〈D(,E flat, E)〉です。
自分が今メインで使っているのはフルートですが、
その前ずっとメインで使っていて、今でも頻度が高いのが ローホイッスル。
自分は“ホイッスルマニア”ではないので、ホイッスル自体を集めたり、
同じキーのホイッスルを何本も揃えてということはしません。
一本気に入ったのがあればそれだけをずっと使います。
セッションに持って行くのも一つのキーを一本だけ。
ただ、レコーディングや歌ものの仕事などでどうしても様々なキーが必要になり、
そういう意味では本数が嵩んでいることは確かです。
家には滅多に使われることのない特殊なキーのホイッスルがいくつかあります。
まぁこれは一度揃ってしまえばその先ずっと使えますので。
今メインで使っているローD管は、Kerry Proと呼ばれるもの。
Phil Hardyという英国の職人さんがつくっているのですが、
Kerrywhistlesというメーカー名で、多分Chieftainという名前のシリーズの方が有名です。
Kerry Proは、Chieftainの上位モデルで、工場で大量生産されているChieftainとは違って、
一本一本ハンドメイドだとか。
このPhil Hardyという人は、元々Overtonというローホイッスルを初めてつくった老舗メーカーにいたらしいのですが、仲違いして独立という曰く付きの人。
Kerry Proはよく見なくても、「大丈夫かな」と思わされるほど、Overtonのホイッスルと形が似ています。
しかし、音は大分違います。
Overton
ファンの方というのは今もかなりいらっしゃって、音程や音量を多少犠牲にしてもあの音質を選ばれるようで、そういった方々からするとKerry
Proはまがい物ということになってしまうのですが、自分はそういう事情を抜きに、Kerry Pro自体の音質や音程、音量を好んで使っています。
特に音程や音量は秀逸で、ライヴやレコーディングなど、外すことが許されないような状況で頻繁に吹く時にはOvertonよりKerry Proが使いやすく、また、素直な音質も結構気に入っていて、バランスが取れたモデルだと思っています。
ローD管は、 頻度が高いため、比較的あれこれ試した方で、これまでMichael BurkeやOvertonを使ったりしましたが、今はKerry Pro一本です。
息の量はBurke等と比べると、はるかに多量の息が必要ですが、その分吹き込みに強く、表現の幅も広いと思います。
かのマイケル・マクゴールドリックMichael McGoldrickが使っていることでも有名で、それも選択の後押しになりました。
このKerry Pro、実はボディを変えることでE flatにしたりEにすることができます。
E flatは、例の知る人ぞ知る笛紛失しかけ事件の際、多くの方々のご援助を得て緊急にオーダーした際に、Philに相談してボディをつくってもらいました。
そして、実は、今度の秋の中原中也の朗読劇で、ローE管が必要になることがわかり、つい先日、急遽ボディだけをオーダーしました。
ボディとヘッドがちゃんとつながるのか心配だったのでPhil本人に問い合わせたところ、
「多分大丈夫だが、チューニングが正確ではないかもしれないので、チューナーでチェックしてくれ」
と言われました。
……。
理屈では正確でないことはわかってはいたのですが、チューナーでチェックしてくれって、実際にボディが送られてきてから、はい音程が悪かったですじゃ困るわけで…。
どうなるのか非常に不安な一件であります。
あともう一つ言わせて下さい。
ポンド高すぎ!