しばらくぶりの更新となってしまいましたが、またぼちぼち書いていきたいと思います。
最近、恐ろしい本を読みました。
目次
カル・ニューポート (著)、池田 真紀子 (翻訳)『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なものに集中する』
【ミニマルなライフスタイルの目的】
そもそも僕にとってこうしてミニマルなライフスタイルを模索することの目的は、ただモノを極端な位減らすことよりは、むしろ頭の中を中心に色々なことをすっきりさせること。
そこにも色んなフェイズがあって、人によって感覚も順番も違うと思いますけれど、自分の場合はまずモノを減らし、次いでスケジュールを引き算して空いた時間をつくり、さらに頭の中をすっきりさせるためにワークアウトや瞑想をするという具合に三段階位ありました。
それぞれ掘り進めていくとその都度パッと目の前が開けたような感覚があって、それがたまらなく好きでそういう感覚を追い求め続けているのだと思いますが、その中で一点ずっとひっかかっているのに見て見ぬふりをしてきたジャンルがありました。
それがデジタル。
【デジタルの何が問題か?】
デジタルテクノロジーがミニマルなライフスタイルにもたらす恩恵は決して小さくありません。
スマートフォンやPCの存在は色々なことを一つのデバイスでまとめてできるようにしてくれましたし、クラウド系のサービスは紙媒体を圧倒的に減らしくれます。
実際、この本はデジタル全般を否定している訳ではありません。
仕事に必要な情報のやりとりについても削ってはいけないとこの本は言っています。
問題なのは主にFacebookやTwitter、InstagramといったSNS。
【SNSの何が問題か?】
人と人がつながっていいこともたくさんありそうなSNSですが、何が問題かというと設計の仕方が問題。
こういったサービスは基本無料で使うことができますが、ご存知のように広告がついて回ります。
これによってSNS運営会社には、ユーザーが長時間サービスを利用すればする程お金が入ってきます。
つまり、これらの企業にとっては、どうしたら人の注意をより惹き付け、できるだけ長時間そこに釘付けにしておくかということが最重要課題なのです。
そして、最新の心理学を駆使して人を中毒にする工夫をふんだんに盛り込んだのがこれらのサービスを提供するためのアプリです。
具体的に特に危険なのは、赤い数字で出てくる通知と「いいね」。
この2つの中毒性が本当にやばいのは皆さんも心当たりがあると思います。
(自分はここまで読んだ時点で即行でアプリのみ消しましたw)
大体序盤で書かれているのはこんなところですが、恐ろしいのはこれらが徹底したリサーチに基づいていること。
それも昨日今日とかではなく何年もかけて、かなりの人数を調査している、あるいは他の研究者によってそうなされた研究を根拠にしています。
本も結構な厚さになるかと思います。
(Kindleでデジタルで読んだので実際の厚さはわかりませんw)
内容的にも推測だけで適当にものを言う薄っぺらさが全くありません。
それだけに怖い。
【人間本来の能力とSNSのミスマッチ】
いくつか印象に残ったことを拾って書きます。
まず、SNS等の恐ろしさを、なぜまずいかを詳しく丁寧に紐解いていて、勿論それに対して色々反論する、つまりSNSを肯定する研究も紹介されています。
しかし、結局わずかなメリットを打ち消して余りある程デメリットが大きいようです。
また、人間という生き物は交流するようにできているらしいんですが、ずっとつながりっぱなしでもまずい。
孤独になって一人で考える静かな時間も重要。
孤独と交流を行ったり来たりする必要がある生き物なんだとか。
さらに、人間が処理できる情報量は膨大で、人と人が対面で話をしている時は表情や声質、身体の状況など膨大な量の情報をやりとりしているが、それを「いいね」のたった3文字に置き換えることは、超高性能の機能を全部台無しにしてF1を牛で引くに等しいとんでもない愚行であると。
そして、その膨大な量の情報をやりとりする相手はある程度人数が限られているべきで、SNSがつくり出すつながりの多さは、人間が処理できる能力を超えている、とまぁこんなことが書かれています。
【デジタルかたづけの実践】
その後、本の中ではデジタルかたづけの実践に踏み込んでいきます。
手順としては
1.まず、アプリを削除。アカウントは残したままブラウザでしかアクセスできないようにし(仕事に必須なものは除く)、それを一ヶ月間継続。
2.その間にオフラインを充実させる努力をする。
3.一時的に削除したもの中から厳選したものを最適化して戻す。
実際にやってみました。
【豊田の実験結果】
結論から言えば、ここ数年で一番幸せな時間を過ごせています。
自分が日常的に楽しむアナログな活動としては
・食事
・筋トレ
・楽器
・テニス
・ダンス
こんなものが挙げられます。
こういった活動は確かに自分と静かに向き合うか、家族や友人と交流するとても良い活動で、SNSから切り離されている方がずっとそこに没頭して楽しめるのは確かです。
SNSのタイムラインを中毒的に惰性で追うことによってこれらの時間が削られた時程悲しくなることはありません。
そして、一ヶ月経ってみて久々にタイムラインを見てみると、確かに湧いてくるのはネガティブな感情の方が多いことに冷静に気付きます。
本の中で、FacebookをつくっているエンジニアがいかにFacebookが魅力的かを話すのに対して、筆者が「それに夢中になっている人はあなたと同じようにFacebookのようなものをつくれるか?」と聞いたら黙ったというようなエピソードが書かれています。
何かをクリエイトしようと思ったらSNSに夢中になっている場合ではないようです。
【今後の方針】
今後の自分については、仕事柄全てを手放すことはできませんが、必要最低限の機能を残して他は使わないようにしていこうかと思っています。
ただ、そうするに当たって気になる矛盾点もあります。
仕事で必要なのは情報を発信すること。
ということはそれを色んな人にタイムラインで見てもらうことが重要な訳です。
なのに自分はタイムラインをほとんど見ない。
なんだかCDをつくって売っているのに、モノを増やしたくなくて、自分は配信で聴くようにしているのに似ています。
これについては、池上彰さんが「TVは出るものであって見るものではない」と言い切っていてちょっと驚きましたが、まぁ世の中そんなものかと割り切ることにしましたw
実際音楽のライヴを聴くことを趣味にしている人が情報収集のためにSNSを積極的に活用するのは、アナログの活動を充実させるための有効な手段ですので、自分とは立ち位置が違うとも考えられます。
そういう訳で、今後の自分の方針です。悪しからず。
・Facebookはアプリを使わない。
・TwitterやInstagramは元々あんまりタイムラインを追っていない上に、むしろ発信のハードルが自分の中で低くないのでアプリはとりあえず残す。今後も検討。
・自分のタイムラインの整理も検討。
・Facebookもtwitterもタイムラインは基本追わない。
・いいねしない。
・コメントしない。
・コメント対応しない。
・発信はむしろする。主にHPで。それをtwitterやfacebookにも転載はする。
ということでHPをリニューアルしました。
これから積極的にこちらで色々なことを発信していこうと思います。
どうぞ皆様SNSの使い方に気をつけながら引き続き豊田の発信する情報を能動的に受け取って頂けたら有り難いです。
宜しくお願いします。